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戦争と平和

 

戦争と平和

  一般に「戦争」は「平和」との反語として理解されており、「平和」に対峙する概念と見なされている。あたかも、そのような二つの概念が別々に存在しているように考えられているようだ。一つの概念が独立して存在しているとその概念を具現化する「平和な状況」や「戦争状態」にまつわる固定された「時間」と「場所」に焦点が絞られてしまい、その国際関係を担う当該二国家がどのような手段で対外政策を追求し何を勝ち取ろうとしているのか、というアクター(行動主体)の行為や行動を起こさせる要求や思惑などアクターの主観性を蔑ろにしてしまう事になりそうである。まして、「戦争」と「平和」というあたかも二者択一的、又は相互に排他的な表現には、強制力の行使が不在で、説得による方法で政策遂行をなすことで代表される一方の「平和軸」から始まって徐々に威圧や強制力を強めていくという当該状況のプロセスとしての継続性が無視される危険がある。「平和軸」から始まった政策交渉も平和裏に問題解決が見出せない場合には武力に訴えることもありうる。それが「戦争軸」又は「強制軸」というものだ。その両軸は継続している一線上にある。その両軸の間には、特定の政策遂行のために用いる手段として、(1)外交的なもの、(2)経済的なもの、(3)プロパガンダ・教宣的なもの、(4)軍事的なもの、がある。政策遂行にはこれらの政策手段をいろいろ複合的に使いこなしながら、相手がこちらの政策を受け入れるようにするために必要な圧力を掛けながら求める政策目標を獲得するのだ。したがって、クラウゼヴィッツの格言のように「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である」のだ。