藤原氏の呪縛
先週日曜日(2013年4月21日)のNHK「八重の桜」は孝明天皇の突然の崩御という訃報で「つづき」となっている。そして毒殺されたという話も呟かれた。これに関連して、関祐二『藤原氏の正体』新潮文庫、2008年、63-64頁から以下の記述を紹介したい。
「宮中の密室殺人。
しかもその密室は、「藤原」の「自宅」のような場所であった。なぜな ら、近世の公家は、そのほとんどが藤原系だからだ。すなわち、この暗殺事件には、「藤原」が大きく関わっていなければなしえないのである。
このように、「天皇」は、長い間。「藤原」の「私物」であった。
天皇を以下に操ろうが、藤原の勝手だったのである。近衛文麿の不遜も、その
根源は、藤原の歴史の中に隠されているのである。
明治天皇、大正天皇の皇后は、ことごとく藤原氏の女人であり、昭和天皇の皇后も
藤原の血を引いていたから、「藤原による皇室支配」は、近代にも引き継がれたの
である。
したがって、今上天皇が「藤原」とは無縁の美智子妃を選ばれたとき、藤原氏の
末裔は少なからず衝撃を受けたはずである。[・・中略・・]
その点、今上天皇のご行動は、ご本人が意図的に選択されたかどうかは別として
歴史的な意味を持っていたのであって、また、多くの妨害があったであろう中での
英断は、たたえられるべきものなのである。」