2015-01-01から1年間の記事一覧

マイケル・ピルズベリー著『China 2049』が警告すること 

鈴木英輔 著者のマイケル・ピルズベリー博士は「1969年に中国との連携を後押しする最初の情報をホワイトハウスに提供したひとり」(『China 2049』(日経BP社、2015年、12頁。以下頁のみ)であり、それ以降、「数十年に亘って、技術と軍事の両面で中国を援助…

The U.S.-China Condominium of the Pacific Ocean: Implications of the USS Lassen’s Innocent Passage in the South China Sea

Eisuke Suzuki* Michael Pillsbury’s recent The Hundred-Year Marathon reveals at length how the past eight United States presidents, from Richard Nixon through Barack Obama, had carried out, as a matter of policy, a series of initiatives to …

COP21 と「先にやった者の勝ち」というルール

鈴木英輔 2015年11月30日から12月11日まで、フランス・パリで、気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開催されています。交渉の焦点のなっているのは先進国対途上国の利害の対立なのです。途上国としては、地球温暖化の問題は理解できるけれども、自…

南シナ海を舞台にした米中の「カブキ」興行? 米駆逐艦「ラッセン」の無害通航の影響

南シナ海を舞台にした米中の「カブキ」興行? 米駆逐艦「ラッセン」の無害通航の影響 鈴木英輔❋ 米国は、日本では普通イージス艦と呼ばれている誘導ミサイルを搭載している駆逐艦「ラッセン」を国際慣習法・国連海洋法条約によって認められている公海での「…

The “Kabuki” Performance by the U.S. and China in the South China Sea? The Implications of the USS Lassen’s Innocent Passage

The “Kabuki” Performance by the U.S. and China in the South China Sea? The Implications of the USS Lassen’s Innocent Passage Eisuke Suzuki* The United States announced that its Navy carried out the Freedom of Navigation Operations (FONOP) …

学界の無責任さ

日本の学界も無責任なものよ。宮沢俊義というお偉い大先生をご存知だろう。 かのお人こそ天皇信奉者といわれ、敗戦直後には明治憲法の改正に反対していたのだ。 その後本人が当時の幣原喜重郎内閣の国務大臣松本蒸治を委員長とする憲法問題調査委員会が発足…

新安保法制の残された課題:もう一つの新しい憲法解釈の必要性

新安保法制の残された課題: もう一つの新しい憲法解釈の必要性 鈴木英輔✴ 2015年9月19日未明に安全保障法制関連法案が参議院で可決成立しました。これで、1960年の旧日米安全保障条約改定以来、日米同盟関係の懸案事項であった「片務性」が、集団的自衛権の…

日本国憲法が示す「積極的平和主義」の法理

日本国憲法が示す「積極的平和主義」の法理 鈴木英輔 現在国会で審議されている「安全保障法制」案を裏付ける「積極的平和主義」とはどのような理念に基づき構成されて、日本国憲法の掲げる国際協調主義と平和主義とに対してどのような位置づけがされるべき…

「一国平和主義」との決別と責任ある積極的な国際貢献のために

「一国平和主義」との決別と 責任ある積極的な国際貢献のために 鈴木英輔∗ はじめに 日本の安全保障政策論議が空虚で非生産的な状況にあるのは、憲法第9条の起草時点から正文採択時点に於ける本来の目的、特に第9条第2項の一切の軍備と国の交戦権の否認を文…

Farewell to "One Country Pacifism"

I have posted my new paper, "Farewell to 'One Country Pacifism' https://www.academia.edu/14140856/Farewell_to_One_Country_Pacifism_

非ヨーロッパ国家による「世界史の転換」の試みの失敗と大東亜戦争の意味すること

非ヨーロッパ国家による「世界史の転換」の試みの失敗と 大東亜戦争の意味すること 鈴木英輔 はじめに グローバリゼーションの波がうねっている今日この頃であっても、世の中の思考の仕方、理念・原則の実践の仕方、嗜好、生活様式などは、いくら「世界は一…

集団的自衛権の行使は合憲である---マニラから安倍首相と高村副総裁への後方支援

集団的自衛権の行使は合憲である--- マニラから安倍首相と高村副総裁への後方支援 鈴木英輔❋ 安保法制の国会審議の趨勢に潮目が変わったなどと歓喜する群集が出てきている今日この頃、敗戦後70年になるこのときに、「一国平和主義」からの決別を鮮明にし、国…

The Post-War International Order with Chinese Characteristics and the "Enemy State" Clauses of the United Natuons Charter

Here is my new article which might interest you. Eisuke Suzuki "The Post-War International Order with Chinese Characteristics and the "Enemy State" Clauses of the United Nations Charter" <http://hdl.handle.net/10236/13326></http://hdl.handle.net/10236/13326>

指原莉乃の「開き直り」の心意気

鈴木英輔 HKT48の指原莉乃(22歳)以下に述べる「開き直り」の心意気にシャッポを脱ぐ。よく言った。偉い。日本人が国際社会で活動するのにも、この「開き直り」の心意気が必要なんだ。 さしこ スピーチ全文「私と同じ落ちこぼれの皆さんの自信になれば」 A…

江田憲司大先生の不思議な論理

江田憲司大先生の不思議な論理 鈴木英輔 昨日(2015年5月28日)午後、衆議院平和秘安全法制特別委員会の質疑の中で不思議な論理が横行したのです。今日はここに、そのハプニングを記録しておこうと考えます。 維新の江田大先生が、国際法の「集団的自衛権」…

The Façade and Reality of the Asian Infrastructure Investment Bank

The Façade and Reality of the Asian Infrastructure Investment Bank Eisuke Suzuki❋ The prospective membership of the Asian Infrastructure Investment Bank (AIIB) led by China reached 57 countries, announced the Chinese Treasury Department on…

「アジア・インフラ投資銀行」(AIIB)の虚像と実態

「アジア・インフラ投資銀行」(AIIB)の虚像と実態 鈴木英輔∗ 中国が主導する「アジア・インフラ投資銀行」(AIIB)の加盟予定国が当初の予想をはるかに凌ぎ、現在加盟国となるとその意思を表明した国の数は既に57カ国にもなった、と中国財務省は4月15日に…

「政策決定への理論」  

「政策決定への理論」と題するイェール・ロー・スクール(イェール大学法学院)からニューヘーブン学派(New Haven School) と呼ばれる法政策理論を詳しく説明した小論を以下に発表いたしました。鈴木英輔 関西学院大学紀要『総合政策研究』第48号、201…

Caveat Emptor about the AIIB

Caveat Emptor about the AIIB Eisuke Suzuki It is undisputed that Asia’s financial requirements for new bridges, roads, ports, power plants and other infrastructure projects are gigantic. It is also acknowledged that funding sources availab…

戦艦「武蔵」の映像に思うこと

戦艦「武蔵」の映像に思うこと 鈴木英輔 戦艦「武蔵」の最後がより鮮明に水深1100メートルの海底から映し出された。 今まで考えられていたよりも衝撃的な姿であった。 実況放送の最後に、プロジェクトの調査スタッフらは船内に集まり、戦死者に黙とうを捧げ…

「戦後国際秩序」の崩壊の始まり

「戦後国際秩序」の崩壊の始まり 鈴木英輔 「イスラム国」と自称する非惨で非情な犯罪組織が第一次大戦の戦後処理としてサイクス・ピコ協定の下で創りだされてきた国境を消し去り、自らのデザインで新たな国造りを狙っていることも、現在進行している領土に…

NHKのとんでもない言語感覚

NHK という所はとんでもない言語感覚を持ているところだねぇー。全く面食らったよ。なんだ、「イスラム国」という名をつけて「国家」としての承認を受けていない集団を「国」として扱うことは良くないから「イスラム国」という名称は今後使用しないという。…

“The Islamic State” and a Challenge to Postwar International Order

“The Islamic State” and a Challenge to Postwar International Order Eisuke Suzuki✳ “The sound of the bell of Gionshoja echoes the impermanence of all things,” begins The Tale of the Heike. The postwar international order established by the …

India's Challenge at the BRICS Bank

India’s Challenge at the BRICS Bank Eisuke Suzuki✳ Frustrated by the failed implementation of far reaching reforms in a major overhaul of the IMF’s quotas and governance approved in December 2010, Brazil, Russia, India and China brought in…